WILD

あの夜は牙をたてて
弱みなんか見せまいと
僕の野獣がうなってた

少し泪を浮かべて
去ったあの電灯の下で
夜空が舌打ちした

“よくやった”
そう頭を撫でられても
君じゃなきゃ嬉しくなかった

あの朝は眩しくて
凍り付いた泪で目を赤くして
僕の野獣がうなってた

冷たい笑みを浮かべて
開き直る僕の顔を
青空が笑った

“今を見ろ”だって?
そんな言葉は君に
抱きしめられながら聞きたかった

おいあの時
野獣を殺せばよかったのか?

高いヒールで心をえぐりながら口にした
馬鹿馬鹿しい挨拶は
君のおどけなさを生んで
僕の頬を熱くする
あぁそんな空は僕を嘲る
あぁそんな野獣は僕を見捨てる

そして僕は君への愛をそっと深める

そして君は僕を忘れる

ALLERGIE

僕のカルテを笑って
誰もが認め呆れて

増殖し続ける
拒む方程式
侵食し続ける
僕が拒む方程式

罵声が聞こえない
その罪のないものを
着飾り拒むこの

僕のカルテを笑って
誰もが嘲笑ってよ

浄化する
溶ける方程式
時が噛み砕く
僕が浸る方程式

責めてくれない
そっと声を潜め
泣きじゃくるこの

僕のカルテを笑って
君が遠くて笑ってて

IERU

いえるよ
曖昧な未来を肯定するその言葉が
解け罵るのは臆病かしら

嘆く前に僕の音を切って
ずいぶんきれいに濁るはずよ
そう願いをかけたから

ねえっていったら首を傾げて
目をつむったら口づけて
空に手を伸ばして大きく誓ってよ

いえるよ
ほらいつか遠く先の僕を指差す
そうやって僕らは滅びる

わめく前に僕の根を切って
幸せそうに微笑むはずよ
君に願いをかけてから

僕を呼ぶなら腕の中へ
眉が下がれば扇風機
聞き耳なければ黙って肩を貸すから

擦り付けたのは僕 見透かしたのは君
汚いと笑う汚い僕 微笑みを忘れる君
さよならを渋る僕 手を上げ背向く君

いつだって愛しい

いえるよ

いつかかならず